10年後にも読みたい本 こんぶトマト文庫の場合
二月の椅子 中村薺・著
金沢市在住の詩人、中村薺さんによる詩集です。
この本は2020年9月12日(土)の毎日新聞書評欄にて、現代詩作家の荒川洋二さんが紹介していた本になります。
最近は少しご無沙汰の向きがありますけれど、いっときの毎日新聞書評欄は通常の書店ではそうそう手に入らない直販の本をしれっと紹介していました。あれ本屋さん大変だったろうなと思う。この本もその一冊で、しかも直販どころか私家版のものだというので書評の末尾に個人宅のものと思しき電話番号が載っていました。20年前ならいざ知らず。おっかなびっくり電話しました。
そうしたら中村さんご本人がお出になって、驚きながらええと書評を見ましたと説明し、無事ご購入させていただいた一冊になります。その後改めてご連絡をして、特に詩に長けた人間でもないしきっとこれはなかなかに分不相応な所業だろうと思いながらも、実は私こんぶトマト文庫という本屋をしておりまして云々こんな感じでわーわーやっておりまして云々と説明をして、図々しくも販売用として幾冊かお譲りしていただきました。書いててひどく畏れ多い真似してるなと思います。いつか金沢行かなきゃいけません。
詩は、今なお読み方がわかりません。今なお、なんて言うと長年近しく在ろうとしてきた風に見えますが、実際詩を読もうと意識するようになったのはここ数年で、それまではむしろひどく遠いところにあるものでした。
この本を選ぶことも、もとい先のような経緯でこの本を手にしたことも、果たしてそれは己の本心からなのかチョットした背伸びなのか、その辺りの分別は正直なところわかりません。
ただ、今回のテーマを自分で設定した時、数多思いついた本から一冊を選ぼうと考えた時、三十代の今の自分としては最も未知であり、そしてより深く接していきたいと思う本を選びました。
ものとしての造りが素敵な事も選んだ理由のひとつ。同じく金沢の造本屋、龜鳴屋さんの仕事です。
あとがきに書かれているのですが、この本が造られた年の秋に、中村さんは〈ここのそじ〉を迎えられます。三十代とか10年後とか言ってるはるか先のところにしゃんと立っていて、それでもなおあとがきの静かな文章から湧き立ち上がっている貪欲なまでの探究心に、ただひたすらに脱帽です。果たして私は、あと50年以上先、半世紀を生きてもなおこう在ることができるのだろうか。
『最高の三十代 ~Perfect SAN-JU-DAI~』は下記URL先のBOOTHにて発売中です。
12月7日(水)より数量限定で西荻窪のBREWBOOKS内こんぶトマト文庫の棚でも販売予定です。
また直接ご購入希望の方は、こんぶトマト文庫のメール、ツイッター・インスタグラムDMでもお受けいたしております。お気軽にご相談ください。
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