12月10日(火)23時45分
「原付で古本を引き取ります」ということをやってみたことがある。
※現在は受け付けておりません
このチラシをBOOK PORT CAFE近辺へポスティングしたところ、しっかりと反応があった。
自分の家にある本を引き取ってほしい、という問い合わせが幾件か。
ここで何となく察しが良い方やその手の経験がある方は、どういった本がやってくるか想像できると思う。全集、あるいは百科事典である。
およそ半世紀ほど前に一大ブームおよび社会問題となり、その大半が一ページも開かれることもないまま紙魚あるいはただの昆虫の住処として書棚の肥やしとなったもの。気軽に捨てるには勝手が悪く、そもそも多くて重くて邪魔くさい。ハッキリ言って面倒臭い代物。
それをあっちから勝手に来て引き取ってくれるのであるなら是が非でも。
そういうケースは最初から想定していた。そして一発目がまさにそうだった。一往復では到底積み切れない量の全集があったので、もう一杯おかわりに走った。引き取り際に家主が「間に一万円とか挟まってるかもしらんなぁハッハッハ」などと仰っていた。一応全部めくってみたけれど特に何もなかった。
そう、全部めくってみた。恐らく本当に一度も開かれていないページをすべて。無論つぶさに読むといったことはしていないのだけれど、ぱらぱらとめくっているとなかなかどうして面白かった。振り返ってみれば、かつての我が家には百科事典はなかった(もっとコンパクトになった類のものなら多分あった)。だから百科事典というものが何を載せたものかということを、うまいこと説明ができなかった。
せっかくの機会だしということでその辺りを少し意識してページを繰ると、本当にありとあらゆる種類の知識が載っているものなのだなと感心した。歴史・人物・工業・産業・生物・物理・宇宙・化学・地理・文学・音楽・宗教・建築・法律エトセトラエトセトラ。文字通り百科を総べる事典であった。「交通」の欄は随分と紙面を割いて「そもそも人類にとって交通とは…」といったところからの説明が始まっていて、正直面白かった。
ブームの中で濫造された代物であっただろうし、効率と見栄のための商品として売買されていた代物でもあって、そして今や粗雑に扱われてやむなき代物となっていることは否めない。
それでも本で、そして見どころもある本だった。一通り確認し終わったので、また函に仕舞ってビニール紐で縛って玄関の脇に積んでおく。
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