今週の書評で気になった本 4月第4週

4月28日(日)神奈川新聞書評欄より


書名:ミニシミテ

著者:田中民

出版社:講談社

価格:1,870円(税込)

ISBN:978-4-06-533569-7

世界各地へ赴き、身を置いた場にてその場を踊る「場踊り」を行なってきた、ダンサー・田中泯。

言葉で何かを発する前に黙って感じることが二の次になっていないか、と危惧する著者が綴る、身体と言葉、過去や未来に思考を巡らせたエッセイ集。


元々は山梨日日新聞で10年以上に渡って連載されていたもの。書名の「ミニシミテ」は著者が山梨で出合った言葉。「物事がカラダの内にまで伝わる感覚」とのこと。

誰しもが言葉の形で容易く受け答えをする中でおざなりにされている、言葉にならないもの。それを疎かにしている向きは、多分私の中にもあって、今もこうして言葉を長々と紡いでいる節がある。

そうではない、何かに直面した瞬間に生まれる空隙の中にある、名状しがたい何か。言葉の前にあるそれを、大切にする。尊ぶ。

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