今週の書評で気になった本 12月第4週

12月23日(土)毎日新聞書評欄より


書名:実践仕掛学

著者:松村真宏

出版社:東洋経済新報社

価格:1,760円(税込)

ISBN: 978-4-492-22414-4

ゴミ箱の上に、程良い大きさのバスケットゴールが設置されている。普段はそこはかとなく億劫な「ゴミを捨てる」作業も、その装置ひとつで「ちょっとしたゲーム」になって能動的にゴミを捨てるように心が傾く。

とある遊べる本屋に置いてありそうな、こういうオモチャのごとき仕掛け。これが存外侮れない。何もない状態で道義や倫理を盾にして「社会を良くしていこう」と叫んだところで、それだけでは万人は動かない。ただ、その過程を「楽しいもの」とすることで、結果得る成果が望ましいものである上、当人たちも楽しんでそれを行なえる。そういう"仕掛け"が増えていくことは、社会的にも望ましい姿なのではないか。

言うは易し、でも実際に仕掛けを考えてみると、なかなか思いつかない。その構築のためには人々の行動を促しているものの体系的な理解が必要となる。著者が提唱する「仕掛学」とは、その理解のための学問となる。

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