今週の書評で気になった本 10月第5週

10月29日(日)神奈川新聞書評より


書名:コロナ禍三年 高校演劇

編著:工藤千夏

出版社:論創社

価格:2,200円(税込)

ISBN:978-4-8460-2282-2

コロナ禍は高校演劇から何を奪い、何をもたらしたのか。

緊急事態宣言が出された2020年春から22年冬までのおよそ3年間の、感染状況や政府の方針に翻弄された高校演劇の記録と生徒や顧問たちの思いを載せた一冊。


私自身は演劇そのものとのかかわりあいも薄く、かつて居住していた地にて芝居をやる友人たちの裏方仕事を手伝ったことがある程度のもの。ましてや小中高大の学生演劇(どこからがそういう領分になるのかわからないので全部含めた)には、それこそ学園祭でやった程度のものしか知らない。なのでそれの全国大会と言われてもどういうものなのか。物語の中では拝聞したことがあれど、それに対して肉感を伴った感想を持つことはとても難しい。

路上や屋内などでマスクをする人もまばらになりつつあり、そして各種催し物が取り立てて強い制約を具備することなく開催されて久しい今、改めて「当時はこうだった」ということを振り返り、そして人々はどう乗り越えていったのか(あるいはそうならなかったのか)を捉えることは、決して単なる懐古的な営みではないと思う。

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