今週の書評で気になった本 2月第3週
2月17日(土)毎日新聞書評欄より
書名:黙々 聞かれなかった声とともに歩く哲学
著者:高秉權(コ ビョングォン)
訳者:影本剛
出版社:明石書店
価格:2,860円(税込)
ISBN: 978-4-7503-5654-9
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エラーメッセージが出てますがリンクは繋がります。
声をあげられぬ誰かのことを私の言葉で話すこと。
使命感と行動力を伴う人たちの営為としてよく見かける流れではあるけれど、それには危険が伴うことを著者は言う。
第一部の「言語の限界、とりわけ「正しい言葉」の限界について」という章が関心を引く。
正しいことを叫んでいる人を目にする。あの人たちは正しいことを正しいものとして言葉にする。正しい言葉はとても正しい。何故ならそれは正しいことで構築されているから。
その圧倒的な正しさは、何を救っているのだろうか。何と戦っているのだろうか。何を動力にしているのだろうか。その中にはなにがあるのか。
正しくありたい、とはよく思う。
まずもって、仮想する「正しさ」を通すこと自体が難儀である巷において(そもそんなことが果たして可能な人がいるのか)、ふと自分が持つ「正しさ」の危うさ、その裏側にあるものを考える。
私自身が何かを語る、そんな一見些末な営為の中にも、誰かの人生とその惨禍を依り代に、あるいは一瞥もくれぬまま踏み台にしているのではないだろうか。
ふと、そう思ってしまう瞬間がある。
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