今週の書評で気になった本 2月第1週
2月3日(土)毎日新聞書評欄より
書名:はたらく物語
著者:河野真太郎
出版社:笠間書院
価格:1,980円(税込)
ISBN: 978-4-15-335062-5
なんのために働いているのか。
どうやって働いていくのか。
単に「タツキを得るため」とすることで一応の簡略な解決を見る問ではあるけれど、なにか大きな蓋を自分の上に落としているような感覚になる回答でもある。そう容易く人間を動かせてはもらえないのが、人間であり社会でもであるとも思う。
私事ではあるけれど、今の職場はこの辺りが比較的簡便に収められていて、そういった逡巡をしている様があまり見受けられない。では本当に皆内心に何も抱かず日々を諾々と過ごしているのかと言えば、個人でやや砕けた話を向けてみると、人によっては決してそうではないことを窺い知ることができる。日ごろお調子者扱い、道化じみた扱いをされている人であってもそれは変わらない。思うところは誰にだってある。ただそれに蓋をするすべを心得ていた方が、なんだかんだで楽である。だからスッと、ズルっと蓋をする。そう見受けられる。
とはいえ、その働き方もしくは働かせ方に無理が生じているのではないか、というのは多くの人が薄々感じているところでもあると思う。
この本では、マンガ・アニメ・映画などのエンタメを通じて、格差ややりがい搾取、ケア労働、ジェンダーなど、「働くこと」を巡る問題を解説しているとのことだ。
書評にも挙げられた作品では、羽海野チカの『3月のライオン』やジブリ映画『魔女の宅急便』など。それらで描かれている「労働」から、我々が内側に構築している労働の姿を浮き彫りにしてみる一冊。
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