今週の書評で気になった本 1月第1週

1月7日(日)神奈川新聞評欄より


書名:思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる

著者:スズキナオ

出版社:新潮社

価格:1,760円(税込)

ISBN: 978-4-10-355361-8

デイリーポータルZなどにコラムを寄稿し、『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』(スタンド・ブックス)なども上梓しているスズキナオさんの新作。

口語体で長いタイトルは数あれど、その中からグッとくるものを選ぶとなると少し難しい。ただ長いだけであったり状況の説明で終わっていたりやたらと煽情的であったり。その中において、スズキさんの本のタイトルは非情にグッとくる。

コロナ禍の中でのオンライン飲み会で友人相手に何気なく始めた「インタビューごっこ」を家族に向け、その中で発された「放っておけば明日には忘れてしまいそうな会話」を丁寧に書き留めた一冊。

「『家族最高!』という本ではない。でも元気でやっていてほしいとは思うし、やっぱり好きだなと思える人たちです」

という言葉に、スズキさんのじんわりした誠実さが現れている。

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